2005年03月11日

小学仮名つかひ(明治事物起源 第七学術)

 小学校にて用ひる漢音の仮名つかひは、発音のまま教、協、喬等はみなキョーと書くの類、ーを長音符として用ふべき旨、明治三十三年樺山氏の文部大臣時代、制限漢字一千二百字の表とともに第二号表にて発表せり。俗にこれ棒引き仮名法といふ。

 この挙は、一方より見れば、一進歩のごとくなれども、小学児童に漢音と国語の別を責むるは不可能にして、たとへば応対の応にオーの仮名すべきを教ふるときは、こと多き、おほいなる犬、目を蔽ふなどの仮名またことごとくオーとやッてのけるもの多ければ、ここにおいて、始めて、漢音のみならず国語の仮名つかひにも革新を加へざるべからざるを発見せるぞ愚かなる。ことに、この棒引き仮名はただ小学のみに用ひ、中学は依然旧法を用ふるをもつて、中学生は小学にてすでに学びしことは、何の益にも立たず、またさらに学習せざるを得ず、不利極まれり。

 よりて西園寺総理のとき、国語の仮名を改革せんがため、国語調査会をはじめ、しばしば討議調査して一案を成し、これを議会に諮りしに、貴族院の反対ありて実施に至らざりしも、読本の改訂期近づき、機やうやく熟するころになりて、内閣の交迭となり、四十一年五月に至り、小松原文相、新たにまた字音仮名遣ひの一法を布令し、教科書の検定および編纂の場合に、この法を許容し、ー引き仮名法を廃止せり。



旧 あう  あふ おう わう をう を 新 おう

同 かう  かふ こう こふ くわう を 同 こう

同 さう さふ そう    を 同 そう

同 きやう きよう けう けふ  を 同 きよう

同 ひやう ひよう へう    を 同 ひよう



文部省生徒の顔に手習ひし  (作者不知)
posted by 国語学者 at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 国字問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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